2018年12月31日月曜日

年末のご挨拶


年末のご挨拶

本年も一年間ご愛顧賜り、誠にありがとうございました。
平成四年に創業した当店は、来年27年目を迎えます。まだ昭和末期の熱帯魚ブームの残り香がある中、他店での修行を経て独立したのが40歳の時でした。ですから、私にとって、過ぎ去ろうとしている平成を振り返ることは、アクアテイク-Eの歴史を振り返ることでもあります。
アロワナ、ディスカス、金魚、メダカ等、「アクアリウム」と一口にいっても様々な分野があります。そんな中、当店が創業当時から力を入れてきたのが「ネイチャーアクアリウム」と呼ばれる水草レイアウトです。
ネイチャーアクアリウムの提唱者であり、ADA創始者である故・天野尚氏に初めて会った日のことは、今でも忘れません。
私がまだ独立前で、他店に勤めていた頃の話です。私の故郷でもある新潟に、面白いレイアウトを作る奴がいるらしい、ということは噂で聞いていましたし、彼の作ったレイアウトの写真を目にする機会もありました。
特に、私が感銘を受けたのは、八海石を使った三尊石組です。当時はまだソイルが普及していませんでしたから、底床材は大磯砂。そこに、ヘアーグラスだけを植え込み、魚はカージナルテトラがこれまた一種類だけ、流れるように泳いでいました。写真にも関わらず、水の「流れ」が目に見えるような、そんなレイアウトに度肝を抜かれたのを覚えています。
しかし、実際に天野氏に会ってみると、さらに度肝を抜かれることになりました。彼はなんと、当時私が働いていた千葉の店まで、新潟から自転車でやってきたのです! それも、顔中髭だらけのなんとも怪しい風貌で。「この野獣のような男が、あの繊細なレイアウトを作ったのか」と、驚愕したものです。
アクアテイク-Eを開店してからは、同郷であるということもあって意気投合し、色々なことを語り合い、お付き合いさせていただきました。当時はバブル崩壊で、世間には言いしれない不安感と閉塞感が漂っていました。そんな時代だからこそ、水中の緑は人々の心の癒しになる、絶対に水草の時代がやってくる、と天野氏は熱く語っていたものです。私はそんな話を聞きながら、その普及の為に皆を引っ張っていくのは、粗野に見えて、それでいて繊細な感性を持った、エネルギーに溢れるこの男しかいない、と心の底から思いました。そして、それは間違っていなかったのです。
そういう経緯もあって、もちろん私も創業当時から水草と水草レイアウトに力を入れてまいりましたので、それが一つのアクアリウムの形として定着した現状を思うと、感慨深いものがあります。思い返せば、リーマンショック、地震をはじめとした数々の災害と、様々な苦難があった時代でありました。それでもこうして26年間営業を続けられたのは、ひとえに皆様のご愛顧のおかげです。
悪いことばかりではありません。例えば、近年は多様性が認められる時代になりつつあります。アクアリウムの楽しみ方もまた、多岐に渡るようになりました。当店はネイチャーアクアリウムに特に力を入れてはおりますが、もちろんその他の楽しみ方を否定するわけではありません。金魚の可愛らしい仕草に心癒されたり、メダカの繁殖に生命の神秘を感じたり、現地の環境を再現してはるか遠くのアマゾンに思いを馳せたり……。そういった楽しみのお手伝いもさせていただければ幸いです。
天野氏の言葉に「小さな生命を愛せずして、大自然を語ることはできない」というものがあります。皆様それぞれの方法で、小さな生命を愛していただければ、これに勝るものはございません。
最後になりますが、アクアリウムは平和な世の中でこそ楽しめる趣味です。これからの時代が平和であることを願って、年末のご挨拶とさせていただきます。

2018.12.31
有限会社 アクアテイク-E 代表取締役 武江春治

左:店長・上野 右:代表取締役・武江(2018年撮影)

入口から店内を撮影(2018年12月31日現在)

アクアウェーブ創刊号掲載の広告(1997年5月)

アクアエントゥNo.5掲載のインタビュー記事(1993年7月)



【第14回】2024年11月“石組チャレンジ@アクアテイク-E”エントリーNO.6

 こ んにちは、店長の上野です。 第14回・石組チャレンジ @アクアテイク-E の講評記事です。 “石組チャレンジ@アクアテイク-E”2024年11月の題材はライケンストーン! 6人目の挑戦者をご紹介します! 正面図 上から お名前(匿名、ハンドルネーム可) :ばけ   様 挑戦...