2020年3月5日木曜日

ダッチアクアリウム風レイアウトを作ってみました!

こんにちは、店長の上野です。
今日は、店頭の36㎝水槽で作成したダッチアクアリウム風レイアウトをご紹介します。



合わせて“ダッチアクアリウム”とは何か?というお話もしましょう。

〇ダッチアクアリウムとは?

・園芸大国・オランダで長い冬の間も植物を楽しめるよう発展した水中園芸

Dutch aquarium という名前の通り、オランダで発展したレイアウトスタイルです。
オランダは古くから園芸が盛んな国。彩り豊かなチューリップ花壇なんかがイメージしやすいでしょう。
ところで、オランダは年間の平均気温が低く、冬が長いので、屋外で園芸を楽しめる時期が限られます。かといって、室内で熱帯植物、観葉植物を楽しむのは、温度や湿度管理の面で難しい。そういうわけで、水槽という温度・湿度管理が比較的容易な環境で育成できる水草の栽培が行われるようになったのです。
余談ですが、同じく冬が長くて寒いドイツやデンマークも、アクアリウム先進国として知られています。寒い国ほど、熱帯の動植物への憧れが強くなるのでしょうか。そういった、各国のアクアリウムが発展した背景を考えるのも楽しいですね。

〇ダッチアクアリウムの特徴

・仕切りとして使う以外は、基本的に石・流木は使わない。(例外有)

近年日本で主流のスタイルだと、まず石や流木で構図の骨格を作り、それから水草を植栽していきます。それに対し、ダッチアクアリウムはそれらをほとんど使いません。後述しますが、流木を仕切りに使う程度です。アクセント的に使う場合もありますが、あくまで主役は水草で、レイアウト素材を大きく主張させることはまずありません。

・各水草の区画をはっきりさせ、整然と配植する。

主役は水草と書きましたが、それぞれの水草の特徴を際立たせるため、区画をはっきり決めて植栽します。(このとき、黄金比を意識したレイアウトにするのですが、長くなるので、今回は割愛)
そして、葉の形や大きさ、色が違う対照的なものが隣り合うようにします。これは、ダッチアクアリウム以外でも使われるテクニックですね。
自然な感じを出すというよりも、人工的に整えるイメージです。まさに、水中花壇という言葉がピッタリです。

・レイアウトに空白を作らない

ネイチャーアクアリウム等で常識になった、レイアウトの中に空白を作る技法ですが、ダッチアクアリウムでは使われません。所狭しと、びっしり水草を植栽します。
空間的な“間”や“余白”をあえて作るのは日本的な美的感覚だと思うのですが、装飾的で豪奢な印象を与えるダッチアクアリウムの根底には、西洋的な美意識があるのではないかと思います。

・仕切り板や流木を使って、雛壇状の高架を作る。

雛壇状の高架もダッチアクアリウムの特徴の一つです。これは、前述の“それぞれの水草の特徴を際立たせる”ことに繋がるのです。
底床が平坦では、前景~中景~後景というくくりの中で、水草の組み合わせに制限ができてしまいます。例えば、平坦な底床では背の低い水草、成長の緩やかな水草は前景に使わざるを得ません。後ろに植えたら、前の草に隠れてしまうからです。ですが、雛壇になっていれば、中景や後景にも使えます。
現実的な例えではありませんが、バリスネリアの隣にグロッソスティグマを植えることだってできるわけです。
具体的な雛壇の作り方ですが、石・流木を使う方法と、人工的な仕切り板を使い、それを流木等で隠す方法の二通りです。当然、後者の方が底床は崩れにくいです。

こちらは、ダッチアクアリウムではなく、当店の水草販売水槽ですが、このような感じです。





あくまで販売水槽なので仕切りは隠していませんが、流木等で目立たなくすれば、ダッチアクアリウムはもちろん、その他のレイアウトにも応用できるテクニックです。

・ライデン通り

“それぞれの水草を際立たせる”と繰り返し書いてきましたが、ただそれだけでは、上のような面白みのない販売水槽になってしまいます。
実際にはもちろん、レイアウトを美しく見せるために様々な計算、工夫がなされます。その代表的なものが“ライデン通り”と呼ばれるものです。。
ライデン通りとは、オランダのライデンにある、花壇を配した道路のこと。
ダッチアクアリウムでは、ロベリア・カージナリスやサウルルス等、成長の緩やかな水草を階段状に植えて作った流れのことをこう呼びます。
かつては、ダッチアクアリウムのことをライデンアクアリウムと呼んでいたこともあるそうで、ライデン通りはダッチアクアリウムに欠かせないものといえるでしょう。


ロベリア・カージナリス

・挿し戻しによる水草の管理

トリミングというと、近年は伸びすぎた水草の頭をザクっと切って、新芽の展開を待つ“ピンチカット”という方法が主流です。ですが、ダッチアクアリウムのトリミングは、伸びすぎた水草を一回抜き、長さを整えてもう一度植える“挿し戻し”という方法をとります。
ライデン通りをはじめ、長さを調整して整然と階段状に植栽した水草に、ピンチカットは合わないからです。新芽の成長具合によって、段差がずれてしまいます。

・底床は珪砂が基本

底床ですが、本場オランダのダッチアクアリウムでは昔から主に珪砂を使用しています。
かつてはソイルが無かったので当然ですが、最新のダッチアクアリウムのコンテストを見るに、今でもそのようです。前述のように、挿し戻しによる管理を行うので、濁りが出やすいソイルは向かないのかもしれません。
珪砂自体には肥料が含まれないので、固形肥料や液体肥料を添加します。
必ずしも全ての水草を万全の状態に育てるのではなく、時には他の草とのバランスをとる為にあえて小型に維持する等、細かな調整を行います。その為、自分で肥料を調整できるのも、ソイルにはないメリットかもしれません。

・家具との調和

レイアウトの中身とは関係ないのでさらっと流しますが、家具、部屋との調和も重要視されます。ちなみに、水槽は150㎝幅が基本サイズで、それ以上のものもたくさんあるようです。日本の一般家庭ではなかなか難しいかもしれません。

・コンテスト

オランダN.B.A.T.主催のコンテストが年に1回行われます。地域ごとにクラブが組織されていて、まずは地方予選を行い、勝ち抜いた作品が本戦に進みます。本戦ではN.B.A.T.公認のジャッジが出品者の自宅を訪れ、実物を見て審査します。
……つまり、日本からの参加は事実上不可能だと思います。

もし、ダッチアクアリウムでコンテストに応募したい方は、無料でWeb応募ができる、AGAコンテストのダッチアクアスケープ部門がおすすめです。
……ダッチアクアリウムはルールが細かく決まっているので、入賞はとても難しいと思いますが。
過去の応募作品も見られますので、リンク先をどうぞ。

AGAコンテスト2019ダッチアクアスケープ部門の結果

〇小型水槽で作ったダッチアクアリウム風レイアウト

ダッチアクアリウムの特徴はまだまだ細かく、たくさんありますが、今回はこの辺りでおしまいにしましょう。最後に上野が36㎝水槽で作ったダッチアクアリウム風レイアウトをご紹介。
“風”とわざわざつけたのは、36㎝という小さな水槽では、上記で説明したダッチアクアリウムの特徴を表現しきれないからです。

底床は、珪砂ではなく、店内の金魚販売水槽で使っていたこなれた大磯砂を使用。バクテリアと窒素分を残すため、あえて洗浄せずに使用。



肥料はカリウムと鉄分主体のスティック肥料。





粉々に砕いて、用意した大磯砂の2/3程度によく混ぜます。これを水槽の一番下に敷き、肥料の入っていない残りの1/3を上に被せます。
正直、今の肥料はわざわざ砕いて砂利に混ぜる必要はありません。昔ながらの方法を懐古趣味的に行っただけです(笑)
ただ、水草の挿し戻しを行う際に、根に固形肥料が絡まって露出するのを防ぐ意味はあるかもしれません。
ADAのパワーサンドを使うことも考えましたが、せっかくのこなれた大磯砂に混ぜたくなかったので、やめました。(再利用ができなくなります)



今回は、水槽サイズが小さく、水深も浅いので、雛壇は作りませんでした。



水草の選択ですが、ライデン通りは王道のロベリア・カージナリスを使用。



その他、ハイグロフィラ・ビオラセア、アマゾンチドメグサ、カーナミン等、ネイチャーアクアリウムではあまり使わない種類を選びました。
中央に大きな面積をとったネサエアsp.レッドですが、本来、赤系水草はポイント的に使うのが普通です。
ですが、今回は赤色が綺麗に見えるゼンスイの新型LED・ナノレビルを展示する為、あえてこのような形にしました。

ゼンスイ新型LEDライト「nano LeviL WHITE」(ナノレビル ホワイト)ご紹介 

まだ後景草の高さが足りませんが、これから仕上げていきますので、完成をお楽しみに!

上野

※参考文献
・吉野敏『All About Dutch Aquarium 水草の楽しみ方』(1991年3月)緑書房
・『アクアエントゥ』NO.5(1993年7月)株式会社シーゲル
・『アクアプランツ』NO.16(2019年6月)株式会社エムピージェー

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