こんにちは、店長の上野です。
今日は、私が世界水草レイアウトコンテスト2020に応募したレイアウトをご紹介。
せっかくですから、画像を交えつつ、立ち上げの様子からご説明します。
構図骨格
2020.1.7撮影
山水石を土台に、左右に一つずつ洞窟部分を作ったのがポイント。
化粧砂として使うラプラタサンドを上から撒き、下の洞窟部分に漏れないようになるまで
ウールマットで隙間を埋めました。
そして、それに覆いかぶさるように流木を置いてから、ソイルを盛りました。
……ビニール等で完全に遮断した方が、後々ソイル漏れに悩まずに済んだと思います。
乾燥した流木は浮力が強いので、重りとして石を置いています。
流木が浮かなくなったら、重石をどかして陰性水草を配置。
……実は「もう大丈夫だろう」と思って早めにどかしてしまい、右側の流木が浮いてしまいました。ソイルと砂が混ざってぐちゃぐちゃに……。やり直しました。
ソイルが崩れてこないように、斜面や化粧砂との境目ににウィローモスを巻いた小石を設置。
ボルビティス付きの溶岩石。
上部にはトロピカ社のミクロソリウム・トライデント付き流木を三つ配置。
下部にはアヌビアス・ナナ・バリエガータとブセファランドラ・クアラクアヤンⅠを。
※上記3枚は全て2020.1.17に撮影したものです。
流木の各所にプレミアムモスとウィーピングモスを配置していますが、これにはちょっとした工夫がしてあります。
プレミアムモス、ウィーピングモスともに、あまり活着力が強くありません。
その為、レイアウトを長期維持していると、トリミングだけではなく巻き直しが必要になることがあります。
そのとき、今回のように取り出せない大きな流木を使っていると、なかなか大変です。
水草用接着剤を使ってもいいのですが、モスの仲間は接着剤を吸い上げて枯れてしまうことがあります。
特に、葉の短いプレミアムモスは顕著です。
そこで、ADAの侘び草マット・プレーンにモスを巻き付けたものを、水草用接着剤で流木に固定するという方法をとっています。
水草用接着剤はそこまで接着力が強くないので、モスが剥がれてきたら、マットごと剥がして巻き直すことが出来ます。
また、写真のアクアスケ―ピンググルーは水中でも使えるので、水を抜かずにモスを付け直すことが出来ます。
有茎草を植栽。2020.1.27撮影。
トリミング直後。2020.3.14撮影。これまでに何回かトリミングを行っています。
2020.4.21撮影。本撮影日まであと6日。右側のロタラのグラデーション、綺麗に整いました。
撮影直前に苦労したのが、洞窟部分に垂れ下がった水草の根の処理。
これはこれでありかなぁとも思ったのですが、どうしても手を抜いた印象を与えてしまう為、全て取り除きました。
この作業が非常に厄介で、狭い洞窟の中、細い根っこがハサミでは掴めず、ピンセットでは掴めても切れず……。
そんな窮地を救ったのがADAのプロビーク(廃盤品)でした。
これなら、根っこをしっかり掴んでそのまま引きちぎることが出来ました。
‥‥…とはいえ、なかなか面倒な作業なので、もう二度とやりたくないです。
やはり、根が貫通しないように土台とソイルの間にビニールを挟むべきでした。
2020.4.26撮影。本撮影前日の夜なので、フィルターのパイプをすぐ外せるようにしています。
完成カット。2020.4.27撮影。
水槽データ
作品タイトル:海への憧憬 (読み:うみへのしょうけい)
水槽サイズ:120×45×45(㎝)
底床:アマゾニアノーマル、ラプラタサンド、トロピカルリバーサンド
ろ過:エーハイムクラシック2217
照明:ソーラーRGB ×2台 1日9時間
CO2添加:1秒
撮影者:石渡俊晴さん(アクアライフ誌・カメラマン)
水草:アヌビアス・ナナ・バリエガータ、ブセファランドラ・クアラクアヤン1、
ミクロソリウム・トライデント、ボルビティス・ヒュデロッティ、
ウィローモス、ウィーピングモス、南米ウィローモス、プレミアムモス、
ベトナムゴマノハグサ、ブリクサ・ショートリーフ、パールグラス、
ミリオフィラム・マトグロッセンセ、ポゴステモン・ダッセン、レッドルブラ、
イエローアマニア、グリーンロタラ、ロタラ・スパイキー、ロタラ・ナンセアン、ロタラ・ワリッキー、
ロタラ・ロングリーフワリッキー、ロタラ・ワヤナード、ロタラ・トワイライト、
ロタラ・アッサム、ロタラ・イエロー、ロタラ・HRA、ロタラ・マクランドラミニ
魚:アベニーパファー、オトシンクルス
その他の生物:ヤマトヌマエビ
☆撮影裏話
洞窟部分、当初は後ろから強く光を当てて白く抜けさせる予定でした。
……が、撮影当日になって、その表現は今回のレイアウトに合わないことに気づいてしまいます。
石渡カメラマンにも「この洞窟、いりませんね。石か何かで塞ぎますか?」と言われる始末……。
結局、撮影当日にレイアウトをいじるのは現実的ではないので、洞窟部分の背面に青いシートを貼り、後ろから弱めの照明を当てて暗いトーンにしてもらいました。
個人的には洞窟の向こうに海があるように感じて、気に入っています。右の洞窟、アベニーパファーのシルエットがいいですね。
アベニーパファー、多少群れるとはいえ、カージナルテトラのように頭を揃えては泳がないので、石渡カメラマンも最初は「上野さん、僕にはこの魚の撮り方の正解がわかりませんよ」とボヤいていましたが、そこはさすがプロ、素晴らしい写真を撮ってくれました。
アベニーパファーを50匹入れましたが、常に生きイトメを設置していたので、喧嘩もせず、ヤマトヌマエビも襲わず、ときには群泳を見せてくれる、平和な水槽でした。
撮影後、アベニーパファーの入荷が止まる夏場に全て販売してしまいましたが、非常に良い状態で皆様の元に送り出せたと思います。
2020.9.21撮影
撮影終了後も維持していましたが、来年は川島がこの水槽を使ってコンテスト応募作を作るので、近日中にリセット予定です。(私の次回応募作は別の120㎝水槽で立ち上げ済み)
以上、簡単ではありますが、2020年応募作のご紹介でした。
上野